神奈川県在住の〈友人Sさん〉から近況をお知らせ下さるお便りと共に、横浜市内にある教会の『会報』が届いた。
ちなみに、この良き友は、一度も会ったことがない友。そして、牧師ではない。
ある教会の役員さんをされている素敵な方で、人生の少し?先輩の女性だ。
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Sさんがお便りと共に『会報』をお送り下さったきっかけ。
それは、78歳のT兄という方が○○教会で、2015年のクリスマスに洗礼を受けられた時に記された信仰告白文の中に、《旭東教会》の名前があったからだった。
○○教会は、Sさんの所属教会と親戚筋のような教会のはず。
〈旭東教会〉の名前を見つけて直ぐにお知らせ下さるとは、何と嬉しい心遣いだろう。
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その○○教会の『会報』にはこうある。
【私が小学校4年の時、父が国外へ単身赴任し留守家族は岡山に帰りましたが、その時は父の母教会である旭東教会の日曜学校に通い、私がキリスト教に接した最初だったと思います。
・・・・・・昭和20年6月29日岡山大空襲により被災し、母の実家である岡山県井原市にて少年期を過ごしました。家族は井原教会に行きましたが私は遠ざかっていたと思います】
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これは凄い!と感動。旭東教会で最初に福音に触れられて、おおよそ70年を経てご受洗とは。
直ぐに友人に電話を入れ、しばしおしゃべり。
そして、「○○教会の会報ありがとうございます。かくかくしかじかで、わたし、ぜひ、T兄に電話してみたいのですが」と伝えてみた。
すると、「先生、私とは所属教会は違いますけど、T家には、私から電話番号を教えてもらったと言えば大丈夫ですよ」とのこと。
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その後、思いたったら吉日で「デンワ イソゲ」のわたし。
直ぐにT兄宅に電話した。
あいにくT兄はお出かけだったので奥さまに用件を伝えると、翌日、連絡が取れ、こちらから折り返しの電話をいれた。
礼儀正しく紳士であることがわかるT兄。『会報』には笑顔のお写真と洗礼式の場面が見えたので、お顔が思い浮かんだ。
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ところがである。
受話器越しの穏やかで明るいお話を聞くにつれ、〈?〉が幾つか続いて出てきた。
通っていたという小学校の名前も西大寺付近にはない。まさか、自分の通っていた小学校の名前を間違えるわけがない。
ハッキリと覚えておられた、とある岡山市内の女学校の創設者のお名前も、旭東教会関係者ではないような気がした。
しかし、在りもしない話を、T兄がされているとは思えないし、デタラメを信仰告白文に記されるわけがない。
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ついに、これは「旭東教会」違いではという地名が出てきた。
「住んでおりましたのは、門田屋敷です」と言われるではないか。
さすがに門田屋敷は、岡山市の中心部にある地名であることを岡山暮らし二年生のわたしも知っている。
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それにしても、何かあるに違いないと確信。
丁重にお礼を申し上げて電話を切った。
岡山には、もう一つの旭東教会が存在したのか!と思ったりもした。
ひとつぼんやりと思っていたのは、「旭東」という地名は岡山市内にあること。
そして、むしろ、わたしたち日本基督教団旭東教会の方が、西大寺にあるのに、旭東という名前はめずらしい、とうことだった。
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さっそく、92歳にして、日々青年のようにお元気にお過ごしの旭東〈正長老〉に「これから伺ってもいいですか」と電話。
実は、正兄には、前日興奮気味に第一報を入れておいたのだが、電話を切ると『会報』のコピーをもって牧師館を飛び出した。
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「正さん、一体これはどういう事でしょう?」と教えを乞うと、直ぐに答えがわかった。
答えはやはり「旭東」違いだった。
門田屋敷に昭和23年まであったのは、現在の日本基督教団岡山教会の「旭東講義所・旭東日曜学校」だった。岡山教会は旭東教会の親教会だ。
正さんが教えて下さったが、岡山教会が昭和60年に発行している『百年史・上巻』の48-49㌻に、確かに「旭東講義所・旭東日曜学校」についての歴史が丁寧に記されている。
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小学生のT少年にとっては旭東日曜学校=教会だったことになる。
考えて見ればそれは当然のこと。
それにしても、嬉しいことだった。私の心の中には、つかの間の夢がだいぶ膨らんでいた。
でも、少しもさみしくない。
神さまは、本当に豊かな福音の種蒔きの実りを見せて下さった。
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こういうことがあるから、伝道は楽しいなと思う。
正長老も、旭東教会育ちながら、中学生の頃、旭東教会には同世代の友だちが居ないと言う理由から、岡山教会の活動に参加して居られ、旭東日曜学校のことはハッキリ覚えておられた。
そして、○○教会のT兄とも電話でお話して下さった。
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それにしても、Sさんよ、いつもありがとう!
それからさいごに、受洗されたTさん。
いつか、ぜひ本籍地があると言われる岡山にお出かけ下さいませ!end