稚内に暮らしていた頃、「利尻昆布ラーメン」を時々食べていた。
これ、インスタントラーメンなのだが、とてもインスタントとは思えないおいしさだった。
安くはない。
一袋230円程だったはず。
安売りには決してならない。お土産物屋さんでも、スーパーでも基本的には同じ値段。
でも、高いとは思わなかった。
なぜなら、おいしいのだから。それだけの価値が十分あった。
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最近知ったけれど、大阪・日本橋のインスタントラーメンの専門店「S 日本橋店」さんというお店がある。
全国各地の袋ラーメンが取り揃えられており、ここの人気ランキング1位がこの「利尻昆布ラーメン」という情報もある。
いや、それどころか、稚内のお土産物屋さんでも、何かのラーメングランプリと書いてあったと思う。
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稚内教会で利尻昆布バザーの働きに汗を流していた頃、東京は世田谷区のご婦人と親しくお話できるようになった。教会では利尻昆布を扱いそうにないので、個人的にということだった。
ある時お便りがあった。
「もり先生、利尻昆布と一緒に、何かおいしいものがあったら、何でもいいから入れて下さい」
そこに至るまでに様々なやり取りがあった。よって、とてもではないけれど、むげに断ることは出来なかった。何でもいいから、というのは難題。
結局、箱詰めして入れて差し上げたのが、「利尻昆布ラーメン」。
いや、何かの折りに、遊びに来てくれた友へのお土産も、岡山に引っ越してくる途中に遊びに寄った方たちにも、「利尻昆布ラーメン」が手土産となった。
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「利尻昆布ラーメン」はインスタントだから、スープの素が入っている。
でも、我が家では、ある時期から、単にお湯で薄めるのではなく、「こんぶ水」を妻が作り、それを薄め、更には、野菜もふんだんに入れるようになった。
それはそれは美味しさ倍増以上となって、我が家の定番となっていったのだった。
懐かしい。
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時は流れた。
稚内から岡山市東区の西大寺に越してきてからというもの、ラーメンにお世話になることが減った。
外でラーメンは食べた記憶がない。「利尻昆布ラーメン」も食べていない。
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増えたのは「うどん」だ。
うどんの本場、香川県が目と鼻の先だということも引っ越して来るまで分からないような田舎者だったのだが、考えて見れば、大阪以西は、完全にうどんの文化圏なのだ。
母の故郷・名古屋はきしめん、そして、味噌煮込みうどん。いずれも似た所はあるけれど、岡山や四国のうどんとはあきらかに違う。
会員のK姉もうどん屋さんだ。
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風土というのは凄いものだなぁと思う。
甘エビ、ホッキ貝、帆立貝、ヒラメなどの刺身が食べたくない、とは言わない。
チカもほっけ本当においしかった。懐かしい。
けれど、今、岡山市東区の西大寺の我が家で頂く時、世界一うまい刺身ではないか、と感じたあの感動があるか、と言うと自信がない。
誰か送って下さい(笑)確かめてみます。
メロンも同じかも知れない。でも確かめてみたい(笑)
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なるべくお仕事はお休みにしようとしている月曜日。妻とふらっと外に出ることも多い。
そしてふり返ってみると、ふらっとうどん屋に行くことが多くなった。
そしてついに、今週は、どこから探してきたのか、「利尻昆布ラーメン」を凌駕しているのでは、と感じた位の、某名店の「ぶっかけうどん」の冷凍袋詰めを調理して、我が家の食卓に登場した。
正確に言えば、日曜日の夜が初登場。
二人、言葉少なに、黙々と頂いた。一袋を二人で分けて。
「これ、おいしいよ!うまい!」「へんなもの入っていないよ」
閉店間近の生協へ二人して走った。そして、ふた袋購入。ちょっと高いからそれ以上は勇気がなかった。
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月曜日のお昼。
今度は、ひとり一袋ぶんが準備されて、オクラや卵ものっけて美味しさは5倍増か?
マイッタ。
スパゲティも減った、そばも減った、チャンポンも減った。
うどん、大躍進。
岡山暮らし一年生も5ヶ月目に入って、また、新たな変化が起き始めた。end