2014年6月2(月)№140 『 あなたは うつくしい 』

おばあちゃんのチューリップです。あか・しろ・きいろ と言うような色ではなくて、大人の色なのです本当に。心底感動!
おばあちゃんのチューリップです。あか・しろ・きいろ と言うような色ではなくて、大人の色なのです本当に。心底感動!

去年・2013年の1月か2月。そう稚内の真冬だった。この年は、何十年ぶりかのすごい雪が続いた冬だった。

 

家が雪の重みで危ないと思ったのだろうか。なんと90歳に近いはずのおばあちゃんが、スコップを片手に2階の窓から勇ましく雪下ろしをしていたのだった。

 

それが、お姿をお見かけした最後だったと思う。5メートル程の道路を挟んで、隣にお住まいだった独り暮らしのおばあちゃんである。

 

その後、ぱったりと姿を見なくなり、息子さんがやって来て「母は入院中ですが・・・・」とお話しになった。やがてご逝去の報に触れた。

 

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おばあちゃんのこと。

 

教会と牧師館を一日に何度も行き来するわたしは、天気の良い季節には、そのお姿をよくお見かけした。

 

おばあちゃんの家の前には、“北海「道」”が管理する、猫の額よりはだいぶ広いけれど、細長い空き地がある。おばあちゃん、道からの許可を得て、そこにお花を植えて育てるのを楽しみにしておられた。

 

当然、草むしりもせっせとしておられた。それを見ると、わたしは焦ったり、感心したりしていたものだった。

 

少し耳が遠くなられていたようで、声をかけても、聞こえないことが幾度もあったし、土いじりに集中しているお姿を見かけ、黙って通り過ぎることもあった。

 

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北海道の、特に道北の、さらには宗谷の春はかなり遅い。今年も今頃がチューリップの季節だ。

 

おばあちゃんが丹精込めて育てていたチューリップ、見事に満開である。

 

それが本当にきれいなのである。

 

うつくしい、という言葉がぴったりか。

 

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よそのお庭やお花畑でも、もちろん、チューリップを見かけることがある。

 

けれど、おばあちゃんのチューリップは、ひときわ可愛らしく、うつくしいということが、けさ分かった。

 

昨晩寝る前に、(おばあちゃんに断って(笑))妻と二人で頂いて来た。それを今朝食卓であらためて眺めた。

 

ほれぼれしてしまう。そしてカメラを構えた。

 

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おばあちゃんは、天国に居られるわけだから、球根の植え替えというのか、そういう手入れは昨年もされてはいない。

 

だからかも知れないけれど、少し、小ぶりな花を咲かせている。

 

そして、それだからかも知れないのだが、その小ぶりさが、繊細さを際だたせ、わたしは感動する。

 

 

デジタル一眼レフカメラで撮影したこの写真がおばあちゃんのチューリップだ。写っている色合いはかなり本物に近い。

 

単色ではなく、微妙に色合いが混じり合っていて、ため息が出るほどうつくしい。自然はすごいなと思う。

 

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きのうは6月1日、日曜日だった。

 

礼拝、そして、たのしい昼食を頂き、教会役員会を終えたのは15時過ぎ。

 

16時から「ピースウォーク稚内」の会議が始まるので、急ぎ足で教会から牧師館の我が家に戻ってきた。

 

すると、引っ越し屋さんのトラック2台。おばあちゃんのお宅と我が家の真ん前に止まり、引っ越しの荷物を、おばあちゃんが暮らして居た家に運び込まれていた。

 

昨年、売りに出されていた家に、新しいご一家が越してこられたのだ。

 

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ここ2ヶ月程、リフォームを請け負った業者さんが出入りをしていた。水回りの設備屋さん、窓屋さん、大工さん、ガス屋さん、ペンキ職人さんが、一人、二人、三人と入れ替わり立ち替わりやって来た。

 

そして、数日前は、おばあちゃんのお家のお庭に小型のショベルカーが来て、花壇は綺麗さっぱりなくなってしまった。

 

そこにも、うつくしいお花が幾種類も咲いていたのだけれど、引っ越して来られたご一家は、二代目の車を置く場所を確保する必要があったらしい。

 

今は水道メーターが地面にニョキッと残っていて、黒の軽自動車が置かれている。

 

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時はうつり、人も移り変わる。

 

おばあちゃんは天国。

 

でも、チューリップは今年も咲いている。

 

おばあちゃんのことを、おそらく知らないであろう、お引っ越しされて来られたご一家は、その窓辺からチューリップをご覧になるだろう。

 

きれいだねぇ、と口にしながら。

 

季節がもう2歩ほど進み、稚内の夏が近づくと、今度は「芝桜」が咲き始めるだろう。もちろん、おばあちゃんが丹精込めて手入れしていた芝桜だ。

 

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そういえば、きのうの礼拝では祝福の話をした。

 

族長ヤコブ。彼の最晩年の最期の日々に遺していったのは祝福だったと。

 

そうか。おばあちゃん、ありがとう。

 

ぼくは嬉しい。あなたを支えたお花たちが、あなたが心を注いだお花たちが咲き始めると、わたしの心は、ホッとしますもの。

 

大地はあなたの遺してくれた祝福を引き継いでいます。そして、わたしたちの心もまた。

 

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この賛美歌を思い出す。

 

『 讃美歌21 』 575 「 球根の中には  (Natalie Sleeth 作詞)

 

1.球根の中には 花が秘められ さなぎの中から いのちはばたく。

  寒い冬の中 春はめざめる。 その日、その時を ただ神が知る。

 

3.いのちの終わりは いのちの始め。 おそれは信仰に、死は復活に。

  ついに変えられる 永遠の朝。 その日、その時を ただ神が知る。

 

時はうつり、人も移り変わる そして わたしたちの人生はみじかい。

 

でも キリストは永遠。end

 

 

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