◆いつもでしたら、関係の皆さんにお届けしたものに、このブログでは、あれこれ補足していますが・・・・今回はなしでUPします。
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みなさまへ 『 最北通信 稚内教会 牧師室便り』
2014年4月20日 №25
牧師 森 言一郎(もり げんいちろう)
稚内市立図書館で開催されている(4月6日~20日)『故久保田喜代巳写真遺作展』を見ました。深く感動です。
数日前、偶然図書館に立ち寄った時に気づきました。写真道の師匠?になってもらっている方に、その場で興奮気味にメール送信。「市立図書館ですごい写真展を行っていますよ。見ていなかったら是非」と。
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4月13日、棕梠(しゅろ)の主日の礼拝後、利尻こんぶバザーの作業が終わってから、日曜日の閉館時間の午後6時の直前に、カメラを抱えて再び写真展に足を運びました。
「閉館でーす」「今、帰りまーす」の声が響き合う中、展示されている写真を撮影。夜、パソコンで改めて見ました。やはりすごい。『つるし雲と利尻富士』『うろこ雲』『喜びの大地』『青空に白銀の華が咲く』『漁師』『けあらし』等、どれも心に焼き付きました。
遺作展ですから、作者の久保田さんのお話を聴いたり、お顔を見ることはもう出来ないのです。
昔ながらのフィルムに焼き付けられている一枚一枚の色調は、デジタルの写真とは違い、染みてくる優しさがあります。
テクニックでも偶然でもない。私は、久保田喜代巳という方が抱いて居られた、ファインダー越しの被写体に対する深い愛を感じました。
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作者の久保田さんについて、会場の小机に置かれていた紙にこう記されています。
【昭和6年稚内市に生まれ、長年にわたって沖合底曳き漁船の機関長として水産業の発展に貢献。退職後趣味の写真に本格的に取り組み……。久保田さんが撮影した稚内や宗谷の風景写真……煌(きら)めく斜光線を大事にした独特のもの……】。
郷土の海を、山を、大地を、そして海に生きる人々を慈しむ思いがこういう形で遺され、伝えられることを教えられました。
キリスト教の「三愛精神」(神、人、土)にも通じるな、と思った次第です。
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全国的に広く名が知られた方でも、図書館の遺作展に人だかりがあるわけでもありません。しかし著名人ではない、稚内に生きた久保田さんの作品は不思議な力をもって私に迫りました。
「年度始めの多忙さゆえ、行けるのとしたら日曜日」と返信してくれていた私のお師匠さん。「素敵な写真ばかりで自分の写真魂がまた燃え始めました(笑)」という返信をくれました。
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ここ数年、日本一小さな大学を競っているかも知れない稚内北星学園大学。私は「キリスト教概論」の講義を担当させて頂いています。
新入学生が20数名の大学なのですが、経営さえ成り立つのであれば、私はそれはそれで、とても良いことだと思っています。私自身、寺子屋のような夜間の神学校で学んだ人間です。それゆえ、少人数の学校の良さを身を以(もっ)て経験しているからです。
半年ぶりに教室に戻りました。1年生から4年生まで誰でも選択できる授業で、果たして何人来てくれるかなぁ?と、1講目のプリントのコピーを大学で始めました。
教務担当の方から、「森先生、今年から部屋が変わりますのでご案内します」と言われ、「あっ、こりゃますます駄目だ」と覚悟。
もしかすると5人位かなと思って教室へ行くと…。なんと25人も来てくれました。
嬉しい。
私の拙(つたな)い講義。毎回、最後にその日の感想を記してもらうのですが、先日はこんな言葉を見ることが出来ました。
「浄土真宗大谷派からキリストへの新たな挑戦です」とか、「愛とは何か、愛し合うということは何か。キリスト教から見る視点、視野を広げたくなりました。15回が終わるまでに、森先生に会いに教会へ行けたらいいです」「ひかり幼稚園だったので深くキリストのことを学んでみたい。自分の抱いている〈愛〉の理想とキリスト教での〈愛〉はどのように違っているのかも学んでみたい」等々。
今後が楽しみです。
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「タニタ食堂」を皆さんはご存じでしょうか。
今年の復活祭(イースター)前のLent(レント)。私はスーパーで買ってきた「タニタ食堂監修の即席みそ汁」に毎朝お世話になっています。
妻の美樹さん。春の吹雪後の圧雪で牧師館前で転倒という受難。左手首をボキッと骨折し手術・入院中です。
神さまを大切にするのと同様、かみさんを大切になさいという神の啓示でしょうか。ほろ苦い北国の春を迎えました。