稚内教会の牧師館と教会。直線で糸を張れば、60㍍も無いかも知れない。
着任まもない頃、教会で使っている電話の子機を、牧師館に持って来てみた。牧師館の玄関先で、ざぁーざぁーと音を立てながら、何とか繋がった。
電話機のcatalogue的には余裕のよっちゃんの距離のような気がしたけれど、日常的な使用はあきらめた。
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表通りから牧師館に向かう所に、20㍍程の坂道がある。坂道途中にあるお家が売りに出されて半年が過ぎたけれど、未だに売れない。
妻は、「坂道やけん、買うのに決心デキンチャないと?」(博多弁ですな)と言っていた。そういうものか。
20㍍の坂道。これが曲者である。
先生、それくらい何でも無い距離でしょと思われるかも知れない。そう、そのとおりで、距離は問題無いのですね。
しかーし、冬の凍結した道というヤツは、やっかいだ。
少し暖かい日があって、日中氷面が一度解けて、夕方頃から凍結。さらに、それを覆い隠す雪が朝までに数㎝でも降り積もると・・・・。
これはもう、落とし穴が準備されているようなもので、浅田真央ちゃんでも素っ転ぶ、危険な坂道となる。歴代の牧師およびそのご家族も、きっと痛い目に遭いながら、学習していったことだろう。
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だいたい、人間というのは、油断をしてしまうものである。ちょっと人を待たせていたり、他のことに気持ちが向いている時はどうなるか。それだけでも、簡単に忘れる。
「あそこに、敵をおとしめる落とし穴がある。お前落ちるなよ、いいな」
「地雷の位置を再度言うぞ! 〇〇の先だから 十分に注意せよ」
そんなことを言われたとしても、途中で携帯電話が鳴ったり、反対側の方で誰かが手を大きく笑顔で振ったりしてくれているとしよう。
ま、少なくとも、わたくしはですね、スッぽーんと飛んでしまいます。3歩あるくと忘れる、という部類の人間だ。
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せんえつながらではなく、恥ずかしながらでもなく、えーーっと、胸を張って言うほどのこともないのですが、実はわたし。転ぶのは上手です。実際、人生何度も転んできましたよ。
血も流さない、骨も折らない、でも、大怪我をして傷を負ったような気もする。
いやいや、そういうことではなくて、本当に転ぶのが上手いのだ。
なぜか。
わたし、サッカーのゴールキーパーだった。
最高の栄誉といえるかは別にしても県大会の決勝ではテレビ中継の試合に出場したこともあるのだった。
ただし、頭上を遥か遠くに越えていくと見受けたボールに、当時、日本リーグに所属していた新日鉄のサッカー部に進まれた大分工業高校の《脇坂先輩》に頭=ヘディングで何度も持って行かれた(シクシク)。
俺の手は届かないのに。
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で、ゴールキーパーは、セイビングをする。横っ飛びやなんかで素っ飛んで、当然、柔らかに着地しないといけない。
それができる自信がチョビットだが、いまもってあるわけだ。
実際、足寄という北海道の道東の町での想い出がある。シンガーソングライターの松山千春さんの故郷の町の記念館のようなところに、まだ、稚内教会にやって来るなんて思いもしない頃に、妻と二人で出かけていたわたし。
目立たないところにある長椅子に足を取られ、スッテーンと転がった・・・・その瞬間を妻は振り返りざまに見ていた。
「なん、しょーと?」(博多弁)=「なーに、ころーんと転がって受け身しているの、あなた?」(標準語)
それが妻の発した言葉だったのだ。
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タイトルに【整形外科未満】と掲げた。
冒頭に記したように、教会と牧師館を結ぶ坂道。魔がさすことがあるのだ。
10日ほど前、幼稚園バスを運転する先生から、大声で、「だいじょうぶですかぁーー!」と声を掛けられて、笑顔で「だいじょうぶだよー!」と答えたような、思いっきり、ひとさまに心配掛けるほど、すってーーーんと転んだことがあったのだった。
その時、足もとを踏ん張れなかった分、左足の膝が踏ん張ろうとしたのだろう。ギクッ(゚o゚;)と膝がちいさな声を出した。
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ま、何とかなるか、と思い、三日経った。しかし、三日三晩を経た頃から、何だか、何にもしなくても膝がうずき出した。
以来、ふとした時に、膝が痛い。そのたびに、しかめっ面になってしまう。
お年を重ねた人生の先輩方が、膝の水を抜いたとか、マッサージに行くとか、他人事で聞いていたが・・・・。やれやれ、腫れてはいないけれど、事あるごとに痛むのだった。
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【サロメチール】と書いてあるわけではないけれど、「経皮吸収型鎮痛・消炎剤 スミルスチック3%」を妻から手渡され、コリコリと塗っているこの頃だ。
いろんな痛みを抱えることには慣れているが、膝の痛みは初めて。これは結構、やっかいですなぁ。歩くのに、膝を使わないわけにはいかないし。
というわけで、体重維持というか、減量のための、ステップ運動は10日前から完全にお休み中。ダイエットの壁が思いがけない形ではだかってしまった。
雪道は難敵であります。急がない、慌てない暮らしをすることしかないらいしい。
「春遠からじの」ニュースは九州の太宰府近郊やら、関東地方の各地の親しい仲間からは聞こえて来るが、稚内の春はまだまだでござんす。ごきげんよう。end