石原裕次郎。僕らの年代だと、「太陽にほえろ!」や「西部警察」のボス。
彼が歌った歌に『勇者たち』(作詞:なかにし礼、作曲:浜圭介)という曲があることを知った。
つい最近まで知らなかったけれど、どうも、日活全盛期の時代の映画『嵐の勇者たち』の主題歌らしい。調べて見ると、こんな歌詞だ。
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①
雨が上がれば 虹が立つ
嵐すぎれば 鳥が舞う
それが人生の 約束だから
今は涙の 味覚(あじ)を知れ
捨てるなよ戦いを 男なら
最後に勝つ者になろうじゃないか
生命がある 勇気がある 夢がある
そして お前にゃ 俺がいる
②
風が強けりゃ 岩陰で
息をひそめる 鷲になれ
爪を練磨(とぎ)ながら唇かんで
羽根をやすめていればいい
捨てるなよ戦いを 男なら
最後に勝つ者になろうじゃないか
誇りがある 祈りがある 愛がある
そしてお前にゃ 俺がいる
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『 勇者たち 』の歌詞がなぜ出てきたのか。
最近このブログにも登場していたSさんに、北九州ホームレス支援機構の働きなどで知られる、奥田知志(おくだ ともし)さんの『もう、ひとりにさせない』(いのちのことば社)という小さな本をお貸しした時、返信の手紙の最後に記されていたのだった。
クリスマスイヴ礼拝もおわってホッとしていた、12月26日(水)夜の入門講座。
讃美歌の歌い方がわからない、というSさんに、同じ入門講座のメンバーで、市内の学校の音楽の先生でもあるY恵さんが、楽譜の読み方の基礎を教えてくれる時間があった。
確かその時に、歌うことの延長線で、カラオケの話題が出て、石原裕次郎のことをSさんは話題にしていた。どうも、かつてどこかで接点があるらしく、「裕次郎は歌は上手くないんだ。バックがよかったからごまかせた」なんて事を話しておられた。
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上記の、奥田知志さん。
わたしは、20年近く前にその存在を初めて知った。以来、信頼と尊敬の思いをもって見守っている方。
わたしが担当させていただいている稚内北星学園大学のキリスト教概論の学期末のレポートでは、奥田さんが北九州・筑豊の小さな教会の伝道集会で語った説教をコピーして配り、その感想を求めている。
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Sさんのお便りの始まりはこうだった。
先生 手紙にて ごめんなさい
先生より この本を読んでみませんかとすすめられた、奥田知志先生の本(「もうひとりにさせない」)、読ませていただきました。とても感動いたしました・・・・
そして、あれこれの話題を記された後に、こう続いた。
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今の私は先生と出会い、先生より生出た者と 感謝しております(アーメン)
・・・・ですから、私の年は0歳です。
・・・・聖書は読む事だけでなく 一つでも実践することが大事だと思う今日です。
・・・・また先日は、〇〇先生より 楽譜 讃美歌など 教えていただき、感謝 感謝です・・・・(アーメン)
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このあとに、
讃美歌では有りませんが 私の大好きな歌詞なのです
という言葉と共に、なかにし礼さんの歌詞が書き写されていた。
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本当は、ご覧のように、①節の最後は本来、
【そして お前にゃ 俺がいる】でおわる。
が手紙では、
【そして 私には 森先生がいる】とある。
照れるではないか。惚れられたか。
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それ以上に感動したのは、②節だった。
【誇りがある 祈りがある 愛がある そしてお前にゃ 俺がいる】
これが、なかにし礼さんの元の歌詞。だが、Sさんはこう書き変えていた。
【誇りがある 祈りがある 義がある そしてお前には 神がいる】と。
《 義がある、神がある 》だと思ってくださる。うれしいじゃないか。
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人は手紙を頂くだけでも嬉しいもの。
初め、気が付かなかったがこれは「恋文」だ。ラブレターが届けば心は弾む。
が、それ以上に、②節で書き変えられた、その肝心な所を、Sさんに見続けてくださればと願う。
オイラはしがない土の器の牧師に過ぎない。俺にがっかりすることは、きっと、これから幾度もあるだろう。
でもね、神さまは裏切らない、本当にね。そう信じてます。end
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■追伸
《参考までに 大学で紹介する 奥田知志(おくだ ともし)さんのプロフィール》
○東八幡キリスト教会牧師
○NPO法人「北九州ホームレス支援機構」理事長
○NPO法人「ホームレス支援全国ネットワーク」代表
▽NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』などの番組に出演
【略歴】
1963年7月、滋賀県大津市生まれ。関西学院大学神学部大学院修士課程卒業、西南学院大学神学部専攻科卒業。学生時代に訪れた大阪市・釜ヶ崎(現:あいりん地区)の日雇い労働者の現状を目の当たりにし、ボランティア活動に参加したことがきっかけで、牧師の道を歩み始める。
1990年から福岡県北九州市にある、東八幡キリスト教会の牧師就任。1990年よりホームレス支援組織「北九州越冬実行委員会」に参加。
その後2000年に認定NPO法人 北九州ホームレス支援機構を設立し理事長に就任。
ホームレスへの炊き出しボランティア活動は、毎週金曜の20時~新勝山公園にて。
【著書】
○『もう、ひとりにさせない』出版社:いのちのことば社 1,365円
○『「助けて」と言おう (TOMOセレクト 3・11後を生きる)』
出版社:日本キリスト教団出版局 840円