2013年11月5日(火)№88  『 増補改訂版 牧師室便り No.19(10/27発行分) 』

※いつもながら、増補版は長いです。お気をつけてお読み下さいませ。

 

お隣のおばあちゃんが天に召されて半年程が経ち、お家が売りに出されていた。不動産屋さんの小さな看板が出ていた。いったい幾らくらいで買えるのだろう?

そんな気持ちになって、電話してみた。

 

「緑4丁目の森と申しますが・・・・○○さんがお住まいだったお宅、売り出されているようですが、お幾らなのでしょう・・・」。

 

「昭和58年の物件で、土地と建物込みで580万円です」とのこと。

 

地元のタブロイド紙『稚内プレス』には、時々中古物件が出ているのだが、大きな都市で見掛けてきた値段からすると、いつも、随分安いものだなぁ、と感じることが多かったので、なるほどねぇと勉強。かなりしっかりした作りのお宅に見えるが、土地込みでこういう値段でないと、稚内では売れないのだろうと思う。

 

とすると、昭和38年・1963年に建った牧師館は築50年・・・建物価値はもう既になくなっているのだろうなぁ、と思ったりする。当然のことですな。

 

昨年、かなりの工費を掛けて、改装された牧師館。工事代金の不足分は会員の皆さんによる100万円規模の債権発行を行ったのだけれど、今後、利尻昆布バザーによる収益が出るようになったら、その返済に充てられることになっている。頑張らなきゃと思う。

 

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10月6日の礼拝後、弾き歌・A康恵さんによる【リードオルガンと歌による わっかないで一番ちいさな Autumnコンサート】。曲目:『わたしを泣かせてください』『樹木の陰で』『父・み子・み霊の』を開催した。

 

康恵さんは道を求めて教会に通い始めている地元のとある学校の音楽の先生だ。専門以外に、家庭科も担当するとお聴きした。

 

わっかないで一番ちいさなAutumnコンサートの会場は、教会一階の畳の部屋。6畳二間のスペースだ。

 

聴衆は10数名は隣接する集会室の椅子に座って心傾けた。歌の解説も含めて、20分に満たないのだけど、澄んだ時間だったと思う。本当にそう思う。

 

このコンサート。練りに練って準備した会ではなかった。闘病の中、昨年のクリスマスにご自宅で受洗された浅利嘉睦(よしのぶ)兄が、車椅子で奥さまの利恵さんとご一緒に礼拝にお見えになる。

 

そのことは以前から「いつか礼拝に来たいね」と聴いてはいたけれど、今回はお連れ合いの利恵さんの意志が固かった。それで、そのことがほぼ確実になってから、あれこれ思い巡らしたのだった。

 

礼拝を1階の畳の部屋でインターネットの配信画面を見ながら守るならば、その場所・その延長線上で、嘉睦(よしのぶ)さんに寄り添う利(とし)恵(え)さんご夫妻を励ます時を持てないか。

 

康恵さんに相談。話しはトンとんトンと進み当日を迎えた。浅利家のご次男・真(まこと)さんはプロのテナーサックス奏者で、康恵さんが学ばれた音大の先輩!というお導きというのか、ご縁もあり実現した。

 

振り返れば、すべて神さまのご配慮とお導きとしか思えない!そんな美しい時だった。

 

コンサート会場となった畳みの部屋は、特別な“オメカシ”は何一つなかった。プログラム用紙だけがピンク色で少し華やかだったものの、そこはいつもの稚内教会と変わりはなかった。

 

真ん中にあったのは、久しぶりの出番が巡ってきて、照れくさそうにしているように見えた、小さなちいさな“ヤマハ 7stop付きリードオルガン”だ。

 

何年前からなのだろう、イタリアからやって来たデルマルコのオルガンの登場と共に、“ヤマハ 7stop付きリードオルガン”は出番が限られていて、最近は殆ど触れられることもなくなっていた。

 

しかし、この度は晴れの舞台に登場。復活した。やさしい音色だった。デルマルコの音は〈cheerful〉という感じの音がするけれど、この日のコンサートにはピッタリだったと思う。

 

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「わたしはピアノが専門で、歌は専門ではないので・・・」と謙虚に話しながらも、心を込めて賛美して下さった康恵さんの歌声。そして、眠りから覚め、復活した“ヤマハ 7stop付きリードオルガン”の音色は、その時間を共有させて頂いた一人ひとりの心の中に、あたたかな“ともしび”を届けてくれた。

 

一ヶ月近くが過ぎても、その時のジンワリとした感動は、何とも不思議な力を持って、今もわたしたち稚内教会を支えてくれているように感じるのはわたしだけではないだろう。

 

その後「この前のミニコンサート、とても良かったです。ヘンデルのアリアのCDを購入して聴いてます」というお便りも届いたりした。嬉しいことに、康恵さんは、次の季節の演奏会を考えて下さっているようだ。実現すれば、これまた嬉しい。康恵さんもこのことを伝えると、とても喜んで居られた。

 

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康恵さんは数ヶ月前にピアノの恩師を本当に突然に天に送り、さらには、つい先頃、おじいちゃまを天に送られたばかりだった。悲しみを抱えている彼女がオルガンを弾き歌う。

 

「音楽はわたしの人生の全てです」と言い切る彼女にとっては、おそらく、このような場であっても、音を奏でる場に仕えることこそが、癒しと復活の場になるのだろう。

 

目には見えない、それぞれの人生の物語の中で、この日のコンサートは進んだのだった。プロデュースされたのは、神さま。今あらためて思うのだ。

 

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北海教区が毎年主催している「教職講座」に今年も参加した。

 

岩見沢に近い、新篠津(しんしのつ)の施設に三泊四日の泊まり込みで行われた。これまで仕えた教会があった、九州や関東といった教区でも教職の研修の場はあるけれど、三泊四日は北海教区だけだ。長年、この日程を変えないで来ている意味は、最近、ようやく見えてきたように思う。

 

新篠津は、北海道を代表する石狩川の逞しい流れを見ることが出来る米所。お世話になった施設は“道の駅”を兼ねた所で、妻からは「帰りに、新米5㎏を買って来るように」と頼まれていた。

 

で、5㎏の米を買ってきたのだが、やはりうまい!ぴかぴかとひかっていて、自然に御代りという気持ちになる。北海道のお米、本土に決して負けてはいないと確信できる。ちなみに今回の品種は【おぼろづき】。お店のイチ押しで、5㎏2000円程(当日特売日)は格安かも。

 

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「リトリート(retreat)」という言葉がある。ある『国語辞典(大辞林です)』で調べて見るとこう説明されている。

 

【(1)引きこもること。(2)修養会。(宗教的な)研修。(3)退却。退路】

 

教職講座に今年もフルで参加してみて、その大切さを染み染み考えさせらた。日々の生活の中で、自分独りで何かを学ぶのには限界がある。神学校で学び始めた25年前、仲間たちと、わからないなりにも先生方の言葉に耳を傾け、語り合ったあの時間は、本当に贅沢な時間だったと今になって思う。

 

何十年も続けられてきたこの会。今回は特に、学ぶ項目が多く、一度のソフトボールの時間以外は、ほとんど、研修室に缶詰に近い状態だった。しかし、食事毎に偶然隣り合わせや向かい合う誰かと言葉を交わし挨拶をが出来る。そんなことの繰り返しが、わたしにとっては実に有意義な時間なのだった。

 

北九州の筑豊という町で開拓伝道を続けて来られたある大先輩が、「外に出たときに、独りではぜったいに食事をしない。誰かと一緒にということを心掛けている」と語っていたことがある。その言葉の重みを思う。

 

ちなみに、ソフトボールは、「札幌地区team」vs「それ以外team」に別れて行う。確か一点差で負けてしまった。小学生の頃は当たり前にバットを振り、グラブを手にしていたのに、今ではこの時位しか手にしなくなってしまった。

 

北海教区は比較的牧師の年齢が低く、この時、ソフトボールを楽しんだ中の一番oldは、たぶん、56歳位の先輩ではなかっただろうか。

 

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信頼する同労の友が、講座修了後、10月20日の礼拝説教の中でこう語ったようだ。

 

彼は完全原稿をそのまま教会のホームページにUPしているのだが、偶然次のような言葉が目に留まった。以下少し引用。

 

【先週は研修会に行き・・・東北の被災地の現状、沖縄の現実などを講師の先生から伺うことが出来ました。それぞれのメッセージを通して、いかに自分が何も知らないのかを知ることが出来・・・また、皆さん、主よなぜですか、と問わざるを得ない厳しい経験をしておられる】。

 

この先生、北海教区の中でも堅実温厚な方(他の仲間たちは・・・どうなのか(笑))。様々な出会いの経験の中から紡がれた言葉に躍動する力を感じた。「アーメン」だと感じる。

 

〈アイヌ民族〉の方のお話もこの会では20年以上に渡って聴き続けているとのこと。

 

今年の語り部・関根真紀さん(二風谷在住)は、過日、恵庭市の温泉施設で、顔の入れ墨を理由に入浴を断られたニュージーランドの先住民マオリをご案内していた当事者だった。

 

どんな意見を持つにせよ、生の出会いは重みがある。なかなか、このような機会を持つことは難しいのが本当の所であり、ある先輩も、北海教区に来てから20年を超えたけれど、「この積み重ねは大きく、財産だと思う」と後日話しておられた。

 

そしてまた、北海教区の教職講座の中で、どうしても外せないのが、アイヌの方たちのお話だろう、という声も研修中に聴いた。

 

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そういえば、【利尻昆布バザー】のお店も開くことが出来て、即売した。売上の金額の問題ではなく、親しい気持ちで語り合える仲間たちとの会話も弾む。感謝だなと思う。

 

帰りには、札幌に立ち寄り、夏に痔ろうの手術でお世話になった病院での診察を受けた。

 

不安に思っていたことを伝えると、「森さんが、そう思われるのももっともです。」と模範解答の言葉をドクターは語り、「少し、焼きましょう!」との恐ろしい言葉を耳にしてしまった。

 

「焼きを入れられるのかい」とちじこまって、たいそう身構えたが、思いの外、軽いショックで助かった。以後、何だかよくなり始めている。痔ろうって、本当にやっかいなものだとつくづく思う。もしお悩みの方が居られた、どうぞお声がけを。いろいろ勉強していますので(笑)、多少の情報提供は出来るかも知れませぬ。

 

ではまた来月、チャオ!

 

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