2013年10月04日(金)№82 『 増補改訂版 牧師室便り No.18 』(9/29発行分に補筆)

 

※毎度のことですが、長文です。お忙しい方、体調のよくない方は、いずれまた、でじゅうぶんかと・・・

 

62回目の誕生日を迎えた稚内教会。

 

去年は創立時に尽力された田村喜代治牧師をお迎えしたが、今年は札幌北部教会の会員で、高齢者福祉施設・神愛園清田で総合施設長としてお務めの〈後藤学〉さんを9月22日(日)にお迎えすることになった。

 

数ヶ月前の役員会に提案したのはわたしだった。

 

後藤さんのことについて古くから知っていたわけでもない。でも、不思議なほど何の不安もなかった。そして今、本当にお招きしてよかった、と感じている。

 

後藤さんはお話しすることがProfessionalというわけではない。でも、それだからこそ、信徒のお立場で語られる後藤さんのひと言ひと言は、話に心傾ける信徒の方たちにとって、実に深い働き掛けがあったのではないか、と想像する。

 

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事前のやり取りで頂いた自己紹介文には、【1955年道東の美幌町に生まれ。仏教を信じていた私が26歳でキリストと出会い、聖日礼拝の出席を優先するため、それまで勤めていた仕事を辞めて、昼はラーメンの出前、夜は宿直の仕事をして、30歳を前に社会福祉法人神愛園の職員となる。現在58歳】とあった。

 

JR幌(ほろ)延(のべ)駅のホームに後藤さんを迎えたのは前日・土曜日の昼前だった。3ヶ月ほど前に甥っ子が来稚した時に行動したパターンで宗谷をご案内することにしたのだった。

 

まず、車で幌延(ほろのべ)から天塩(てしお)に抜けることにしていた。昼食に、天塩の道の駅で〈しじみラーメン〉を食べるプランだった。

 

わたし自身も2度目だったのだが、前回よりもおいしく感じて、後藤さんも満足な様子。ウニもチョコッと入っていて、千円なり、は決して安くはないが、ぎりぎりゆるせる代金だと思う。

 

車中で後藤さんから、「あす、礼拝で向き合う方のことを、イメージして準備したいので、少し教えて頂けますか?」と尋ねられた。明日の礼拝のことについて誠実に準備し、思い巡らしておられることがそのひと言で伝わって来た。

 

観光案内をしながらでしたので、途切れ途切れだったが、皆さんのことをお伝えする。小さな稚内教会とはいえ、一人のことについて話始めるとそれなりの時間が必要だ。

 

やがて、“あれっ”と思うことが何度かあったのだった。

 

「あー、その方は○○子さんですね」とよくご存知の様子なのだ。お招きするにあたり、いろんな印刷物をお送りしたが(例えば、教会総会の資料も)あらかじめお送りしていた文集『あしあと』(今年6月発行)を熟読して下さっていた。

 

ありがたいことに、後藤さん、来春の『あしあと』発行時には投稿を約束して下さっている。

 

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サロベツ原野に着く頃には、われわれ、旧知の仲のような気分になっていた(と思う)。肩肘張らせない、そういうお人柄なのだと思うが、お仕事柄とはいえ、すばらしいなぁと思う。

 

サロベツ原野にある展示施設を楽しみ、その後、稚内で初めて見るトンボが飛び交う中、後藤さんとベンチに座ってぼーっとする時間もあった。秋の空気がオヤジふたりをやさしく包む。360度の地平線と雲を眺めながらだった。

 

その後、オロロンLineに戻り、日本海側をさらに北上。

 

礼拝出席が難しい方の中で、T真利子姉のお宅を通るコースだったので訪問することにした。何の約束もなしだったが真利子さんは在宅。どうぞどうぞの声に甘えて上がり込んだ。

 

「なーんだか、森先生が来そうな気がしていたんです。鼻が利くんですね」と言われる。

 

「なにか、いいものがあるの?」とわたし。

 

すると、真利子さん、利尻から届いたばかりという《本まぐろ一本》をお父さんが裁いたからと、冷蔵庫を開いて分けて下さるではないか。かたじけないことだ。

 

妻との打合せで、何か、お刺身を買ってこよう、ということになっていたのだが、神さまが備えていてくださった。それにしても、稚内でまぐろとはめずらしい。夜、牧師館で後藤さんと夕食を共にしたのだが、まっことおいしゅうございました。後藤さんのみならず、大満足だった。

 

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夕食時の後藤さん。この日ばかりは、さすがに札幌から「至急、園に戻って下さい」というような電話は入らないことになっていたため、くつろいでおられた。よかった。

 

礼拝での後藤学さんの語り口調。じつに穏やかでありながら、奨励の言葉には力があった。音声だけでなく、最近始めた礼拝中継は録画を見ることができるので、見直してみた。

 

「みなさーん、おはようございまーす」の第一声は、神愛園の入居者の皆さんに語りかけるようでもあった。そして間がよくて聴きやすい。

 

礼拝の時には「あららら 後藤さん 歌い始めた」と思って少し驚いたのだが、実は、お話の中で最後の方に歌われた『感謝します』という賛美の歌(ワーシップソング)の余韻は時間が経つほどに大きくなり始めたのだった。

 

かなり衝撃を受けた。歌っておられた礼拝の時よりも後になって響いてくる。

 

後藤さんの歌。上手いとかとか、声量がすごかったというのではない。後日、後藤さんとお話した時にご自分でも言っておられたが、高音など、むしろ、音が外れそうになることもあった。

 

でも、そんなこと一切おかまいなしで、後藤さんらしく、ご自分がとても苦しい思いをしている頃の2年間、車の中で歌い続けたというその賛美を、みんなの前で捧げてくださっのだった。

 

信仰の歌を歌う生き方とは、こういう形もあるのだと、深く示された時間となった。聖歌隊とか、音楽の高度な訓練を経たとか、そういうことでなく、誠実に感謝と喜びを歌うその姿に、心打たれたのだ。

 

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スーパー宗谷で名寄に向かう予定だった後藤さんをJR稚内駅にお送りする前に、宗谷丘陵と宗谷岬に妻と共にご案内出来てよかった。

 

好運にも〈サハリン〉がハッキリと見えた。サハリンを見たのは、わたしも稚内に来てから初めてのことだったのではしゃぎながら写真を撮り歩いた。空気も澄んでいて最高に気持ちが良い日曜の午後となった。

 

晴れ間も雲も海も丘陵も美しかった。日夜、大きな責任を担って緊張の日々をお過ごしの後藤さんにとっても、神さまからの最高の贈り物だ、と思った。その時の写真を見ると、後藤さん、ご用を終えた解放感があるにせよ、本当に、いい顔をしている。

 

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話題を変えよう。

 

少し前のことだが、9月15日(日)の夜、名寄で道北地区の委員会の後に、牧師会が行われた。チャーリーこと、興部の伊藤牧師特製のチキンカレーをお腹一杯頂いた。

 

そこには、道北地区が特に親しい関係にあるカナダ合同教会からのお客さまで、わたしよりも少し年輩の女性牧師べヴさんがお出で下さっていた。

 

各地の教会での奉仕を終えて間もなく帰国というベヴさんの話しを仲間たちと一緒に聴くことができて有り難かった。

 

難波真実牧師(士別)が気配りして下さり、いろいろな質問をベブ牧師にしてくれた(質問は日本語です・・・ウイットマー先生が通訳)。

 

ベブ牧師の話はとても面白く興味深いものだった。例えば、お国柄なのか地域の特性なのか、その教会がそうなのか・・・ベブ牧師のお住まいになっている家がどこか、教会の方は誰も知らないという。つまり、牧師館がどこにあるのかなんてどうでもよろしい、ということらしい。連絡が取れればそれでよいのであり、相談に乗るときも、教会よりも外のお店のことが多い、と多分言われたと思う。

 

最後の方で、難波牧師の言葉が切っ掛けで、教会を通じて出会う方たち、特に年輩の方を「respect(尊敬する)」ことと、「story(人生の物語)を聴く」ことを大切にしていると、ハッキリ語られた。

 

わたし自身もそうしたい、とぼんやりと思って来たつもりだったが、少し思い巡らした後にベブさんが語られる姿に教えられた。自分には、今ひとつ不明確な所があったのだ。出会いが与えられている方々の「origina(固有の)lstory(人生の歩み)」に聴き共に歩んで行こうとする道は豊かでと最近とみに思わされている。心して仕えていきたい。

 

菜食主義者というベブ牧師。稚内教会の“利尻昆布”を4袋も買って下さりお土産にしてくださった。

 

昆布バザーに協力して下さっている教会の中に、献身時に送りだしてくれた母教会がある。

 

その母教会で教会学校の奉仕などご一緒していた、亡き母と同世代の84歳のご婦人からメールが届いた。抜粋してご紹介。

 

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頌主 お懐かしゅうございます。今日は、我が家の「稚内教会デー」でございました。・・・礼拝が終わって、ロビーで昆布を求めさせて頂きました。先週買いそびれたので、今日は絶対に!と思って一目散にイエス様の手の下に行きました。私が求めた時、婦人会の係りの方が「今日はこれで32袋目よ」とおっしゃっていました。大盛況です。こんぶの前に短いけれど列ができておりました。

 

実は私、昭和50年ころから利尻昆布一筋でございます。札幌在住中に(夫の転勤で)利尻昆布の味に魅せられました。・・・・

 

お説教「9月15日分」もしっかり伺いました。我が家は空がたくさん見えるところに住んでおります。これから虹を見ましたら森先生のお説教を思い出すことでございましょう。

 

オルガンの素晴らしさがとても心に残りました。音、リズム・・・さすが~と思いながら聞かせて頂きました。胸がキュンとしました。

 

ブログも全部読ませて頂きました。長いですよと書いてありましたが引き込まれてぜーんぶ読みました。「私もそう思います」と申し上げたいことが、沢山ありました。

そろそろ夕食の支度の時間。我が家の「稚内教会デー」もお開きとなります。

主に在りて。

 

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他にも、春先には全く想像できなかった、共に歩んで下さる広がりがゆっくりと起こり始めているのを感じる。みんなで努力して来たのだが、それ以上に大きな力が働いていることを思わずにはいられない。

 

秋分の日、教会の庭でのどかで珍しい光景に遭遇。そろそろお終いの秋桜(コスモス)に、まだ上手に飛べないウグイスの幼鳥が羽根をパタパタしながら、ふわり・フワリと止まったのだった。まるで蝶のように。いやー驚いた。ではまた来月。チャオ!

 

 

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