2013年06月27日(木) №53 『 増補版 牧師室便り №15号 』

2013年06月23日 牧師室便り №15 増補版

               稚内教会 牧師 森 言一郎(もり げんいちろう)

 

朝散歩によく行く足が向かうのは“南小の森”に向かうテニスコートへの道だ。今、すごい数のウグイスの歌声が響き渡っている。

 

あっちからも、こっちからも「ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ・・・・」「ホー ホケキョ」とさえずる声が響き渡る。まるでコンテストが開かれているかのようなのだ。

 

このあたり、えぞ鹿が群れをなしてやって来ることもある。熊は・・・まだ見ない。たぶんここには居ないのではと思いたいが、どうなのだろう。向き合うのは御免被りたいですな。ほんまに。

 

夜は夜で、牧師館の山手の方からは、小鳥たちの何か少し自慢げなさえずりが聞こえる。妻がネットで調べて見ると、どうも、“アカハラ”というサハリンに多くいる小鳥か、“夜鳴きウグイス(ナイチンゲール)”のようだ。

 

ただし、家の中に居ての聞こえ工合は、と言うと、実は、わたしの耳にはあまり聞こえてこない。妻は、「ほら、またないとうやろ」と言うが、難聴傾向があるわたしの耳には、ある高さからなのか、大きさなのか、聞こえないのだ。

 

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発行できたらいいだろうなぁと思っていた教会の文集。『あしあと』と名付けて誕生した。とても嬉しい。すでにホームページでも少しずつ公開し始めている。

 

これはまた、教会の皆さんからの福音の発信になるはず。毎月の会報、あるいは、季刊のでもそうだが、とても今の稚内教会の体力では発行出来ないと思う。そして、たとえ大きな教会が発行を続けているとしても、意外にその読者は読み飛ばしたり、なくしたりと、ある意味ぞんざいに扱われるのではないか。

 

というわけで、年に一度の文集発行が、ちょうど好い加減かなぁというのが実感。さっそく来会された方にもプレゼント出来るようになった。

 

じっくりと分かち合いが出来る文集は、教会の内側での伝道の力を持ち合わせている。そして、何度でも読み直したくなるもの。実に味わい深い。来年も頑張りたいなと思う。ほんとに、なかなかいいものだと感じている。

 

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利尻昆布バザーが始まってから2ヶ月が過ぎようとしている。

 

良質なコンブがお求めやすい価格で、しかも、美しいパッケージに包まれていて好評。今、品切れ状態だ。何しろ、こんぶのいろはを知らない所から始まっているのだから、致し方ない。

 

とは言え、今後は、生産というか販売というか、その能力に合わせてこんぶの仕入れをしっかりと考えないと行けない。袋詰めされたものを転売しているわけではないので、教会内部の作業能力も課題。力を合わせて多くの方が関わると確実に効率が上がる。

 

それにしても神さまのお導き!としか思えないような好運が重なり、道が拓かれた。文集もそうなのだが、おそらく、こんなに早くこんぶの販売を始められるなんて、誰も考えもしなかったと思う。追風は神さまからのもの。

 

親しい方たちからも、協力するよ、の声が届く。こういう形での“共に”・“たがいに”は、目に見えない力を貰えるなと実感する。

 

そして、地元産物を通しての利尻昆布バザーはみんなの誇りなのだと思う。教会内にも新しい風を感じるし、仲間の牧師たちからも「いいアイディアじゃないこういうのは・・・」との声が聞こえてくる。そう、良いことを始めているのだ。

 

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今年も7月8日から稚内ではこんぶ漁が始まる(漁期があるなんて去年まで思いもしなかったのだが)。

 

9月の末迄続くそうだが、お世話になっている漁師さんの話をじっくり聴いていると、勝負は2-3週間の様子。海に入ることが出来るのは漁業権を与えられている漁師さんだけのようだ。

 

50年くらい前迄は、2千人近くの漁師さんが居たのに、今では、200人位だと確か言われたと思う。みんながこんぶ漁をするわけではないにせよ、ずいぶん、漁師さんが減っている。こんぶの質の変化も漁師さんは、温暖化が影響しているとも言っておられた。

 

今年は「これは教会さんへ」というお気持ちを持ちながら海に入って下さることもあるのだろう。有り難いことだ。

 

6月は当地のウニ漁の季節だった。ウニは利尻昆布を食べて成長するそうだ。こんぶに所々穴があるのは、ウニがかぶり付いたからだとも聞く。だから、あのウニのおいしさにも“納得”できるというわけだ。

 

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関東地方の田舎の教会で伝道牧会する、気骨があって頼りになる先輩が「そういうことを応援する伝道をと思っていた。続けて行くことが大切だね」と助言し、注文を下さった。本当にその通り。8月中旬からの新たな出荷が楽しみだ。

 

われらの利尻昆布がどんな風に手に渡り、味わって頂けるのか。ハガキでも入れておいて、ご意見・ご感想を聞かせて頂くことも必要かも知れない。

 

苫小牧地区の島松伝道所・辻中明子牧師と教区の宣教研究委員会で顔を合わた。島松伝道所は、10年近く全国に向けて野菜販売をしている、その道での先輩教会だ。情報交換の話も弾んだ。

 

明子さんの「夫と何やってるんだろうねぇ(他のことを時にそっちのけで、という意味だろうと想像)と話ながらやってますよー」の声に少し安心。

 

わたしも、妻と二人で、日曜日の遅くまで、こんぶ絡みで作業をしていると、ふいにおかしさが込み上げてくることがある。ある友が、“こんぶ牧師”に手作りのエプロンを準備してくれている。現在仮縫い中だ。

 

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最北観光が本番、稚内公園にはどっと300人。地元紙『稚内プレス』の6/15(土)号の見出しが出ていた。

 

3千人ではなく300人という所が可愛らしいのだが、観光バスの応援の為に、わたしたち夫婦の故郷九州からバスが来るというのは不思議な巡り合わせ。しかも、妻が幼い頃から親しんできたバス会社の車らしい。

 

なんとも愉快な気持ちになるではないか。

 

少しショックな数字も目に入って来る。3月末の宗谷管内の人口集計が前年比で発表されたのだが、「1年間で683人減」とあるではないか。毎月の『稚内市報』で人口の推移にはいつも注目しているが、3万人割れが現実のものとなりつつある。

 

そんな新聞記事を見た後、北海教区の委員会でご一緒した倶知安伝道所の坂口孝牧師が「倶知安町には高齢者問題がありません。除雪が出来なくなる前に、みんな札幌に引っ越すから」とお話しされていた。

 

その言葉、そして、稚内プレスの記事がグルグルと頭の中を回る。

 

日本には約1%のクリスチャンが居ると言われることがある。もしかすると、0.5ではないかと思うこともあるが。仮に1%だとすると、キリスト教に前向きな関心をもっておられる方が、稚内でも370人位はお隠れになっているのかと想像する。

 

教会ホームページやこのBlogも含めてのつたない発信を、わたしは、現代のチラシ配りだと心得ている。チラシを受け取ってくれる方が、この町の中に必ず居られることを信じて、そして希望をもって、まだ見ぬ一人の魂に向けての発信に努めたい。コツコツと。

 

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名寄でしばしば開催される道北地区の会議。170㎞の距離は、わたしの運転だと、約3時間が必要だ。トイレ休憩は少なくとも1回必要だし、やはり安全のためにも休憩は必要だ。セブン(稚内にはない)にも寄りたくなる。

 

この距離は、遠くて大変と思う以上にrefreshになる。運転が好きなのも事実。しかし、それ以上に、委員会の仲間たちとの交流は掛け替えがないものだと感じる。何より力が充電されるのを感じる。

 

礼拝が終わったあと、互いに疲れを覚えながらも、道北地区では夕方4時に集まってから8時頃迄は会議が続く。しかも、牧師たちだけでなく、信徒の方も含めて熱心に語り合う。年齢や経験に関わりなく、互いを尊重し、自由に論じ合えることが本当に実践されていることも素晴らしい!

 

わたしは小学校の頃からサッカーをしてきた。Jリーグなど微塵もない頃である。高校時代からは、ゴールキーパーになった。

 

サッカーという大人数でするスポーツに関わって来たからだろうか。正直に言うと、個人戦のスポーツは苦手である。遊びでもそう。将棋や囲碁、オセロもだめだ。それに比べれば、トランプをみんなでワイワイ言い合いながらするのは楽しい。

 

つまり、チームプレーの競技が好きなのだ。いやいや、教会生活そのものがそうなのかも知れない。その点でも、道北地区の交わりに心地よさを感じる。感謝だなと心底思えるのだ。

 

稚内の短い夏はスルリと逃げて行く。気をつけねば。ではまた来月、チャオ♪

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