『 広報わっかない 』が毎月町内の回覧板と同じように牧師館にも届く。あるいは、講義でおじゃまする稚内北星学園大学の図書館やコンビニでも頂くことが出来る。その広報は、稚内北星学園大学が稚内市から業務委託されているとのこと。そのため、大学の事務所の片隅で編集作業が行われていてその様子が目に入ってくる。
スタッフの方が、わたしたちの教会とも結び付きがあるので、応援する気持ちも強い。そして、これまで暮らしてきた様々な市町村の広報よりも興味をもって読むことが多い。読み物として面白く、様々な工夫がなされているのも、そう感じる理由かも知れない。
わたしが稚内で暮らすようになってから、必ず確認する欄がある。それは最終ページにある〈稚内市の人口〉である。最新の12月号には、11月25日現在の人口が載っていて、男:18,442人、女:19,233人、合計37,675名とある。世帯数は18,716名だ。
何が気になるのか。それは、前月比の数である。10月と比較すると、男性は22人減少、女性は9名減っている。合計31人が何らかの理由で稚内市民では無くなり、世帯数も13世帯減っている。スクラップしているわけではないから(今号から始めようかな)正確ではないけれど、わたしの印象では、やはり毎月30人近く減ってきたのではと記憶している。
うーん、これで12ヶ月を計算すると300人~400人が一年間の減少となり、5年で1500人~2000人。さらに10年では・・・・となる。いろいろな方のお話しを聴いていると、稚内を愛しているけれども、健康上の理由、とりわけ病院の問題、そして子どもさんとの兼ね合いなども考えて、札幌方面に定年退職後に引っ越される方もあるという話を、ぽつりぽつりと聴く。
それから、教会に関係する方の声に限られるけれど、たいへん多くの方から、「稚内(教会)がよかった」「故郷のように思う」「わたしの青春の全て」等々、表現は違っても、稚内が好きという声が伝わってくる。もちろん、聴いていないけれど、違う気持ちの人もいるとは思いますが。
これは、遠く離れてみれば誰だって・・・の、世に多くある話と同じなのだろうか。私見だが、どうも違うように思う。時を改めて考えてみたいと思うけれど、稚内にそれなりの期間を暮らした方たちは、近郊に大きな市町村や都市がない稚内の、端から見ると不自由そうに見えるこの大きさの町、そして、最北に位置する町のよさを、あとになって肌に感じているのではないか。狭さや小ささ。不便さも含めて、だからこそ濃いものがあるように思う。
稚内に未来はないのかしら。わたしは少しもそうは思わない。そして、待ったなしに高齢化が進む稚内であり、稚内教会だけれども道はあるのではないだろうか、と希望を失うことはない。
ただし価値観をどう持てるか、それはすごく重要なことではないか。大都市あるいは中堅地方都市とはまったく違う価値観の共有が出来れば、地元紙などがしきりに訴えている危機感は、「でも、これでも十分によいのだ」という気持ちに変わっていくのではないだろうか。
友人が牧師をしている、例えば、鹿児島県の南西諸島の徳之島。1月に応援に出かけたけれど、あの町の人口は11,799人と出ている。出会った方たちは、すごく幸せそうに見えた。
わたしの故郷の大分県に姫島村というところがある。2年前の国勢調査の人口で2,189人、世帯数=913世帯という。姫島村のホームページにも情報公開されているが、人口に比して村役場に勤める方の数は大変多い。が、給料は思いっきり低くしている。仕事をシェアーしているのだ。そこにはすごく大事な意味と合意があるのだと感じる。
きょうは牧師の休日の月曜日。妻と一週間分の買い出しに出かけた。一番大きな西條さんという百貨店風のショッピングモールで「あっごめんなさい」とぶつかって足を踏んで下さった!?ご婦人を振り返って確かめてみると、親しくしているご婦人だった。
美味しい魚を、と立ち寄ったスーパーの入り口で立ち話したのは、教会員のNさんのご主人で、「いやー、降ったねぇ」と除雪の苦労話をして下さった。そして、牧師館の前で雪かきをしていると手を振ってくれたのは、幼稚園の聖歌隊で一緒に讃美歌を歌い始めた園児のお母さんだった。嬉しかった。
あっ、先週の土曜日のこと。春先に福岡からの友人達と一緒に礼文島を訪ねた時、桃岩の辺りで親切にお花のことをあれこれ教えてくださり、しばらく道案内と草花の紹介を一向にして下さった=礼文をこよなく愛するご婦人が教会の玄関先に立っておられた。
嬉しいことに、礼文の花々や野鳥が写っている素敵なカレンダーをプレゼントしに教会を訪ねて下さったのだ。なんとその方は、住所は正確には存じ上げないけれど、同じ緑町内の方なのだ。ときーにだけれど、メールのやり取りが出来るようになっている。ご近所づきあいのようでこれも嬉しい。トマトを下さった事もあったなぁ。
稚内。その恵みを改めて思うきょうであります。クリスマス前の慌ただしさにあるはずですが、なぜか、keyboardを打ち込んでしまいました。end